2007年06月29日

石見銀山・世界遺産登録についての山陰中央新報の記事からご紹介します。

 石見銀山遺跡が事前評価の劣勢をはね返して世界遺産に登録された。その軌跡を追う。

「環境」基軸の戦略的中

 逆転登録のキーワードは「環境」だった。28日の第31回ユネスコ世界遺産委員会で登録決議を勝ち取り、世界に輝きを放った石見銀山遺跡。諮問機関には厳しい指摘を受けた鉱山が、本番で一転して高い評価を得るには布石があった。
 イコモスが登録延期勧告を示した5月。20カ国代表に遺跡の評価格上げに動いたユネスコ日本代表部の近藤誠一大使は、各国大使が森林を守りながら銀生産を実現させたシステムに関心を寄せたのを見逃さなかった。
 自然を破壊する通常の鉱山に比べて、石見銀山は自然と共生し、緑に覆われた鉱山。21世紀の人類が地球温暖化に直面していることも、環境が国際的にアピールしやすいとの判断の下地にあった。
 近藤大使は、文化庁と島根県、大田市の専門職員をフランス・パリに招き、イコモス評価に対する反論など日本の見解を示す補足情報をまとめた際にも、戦略的に環境面を意識的に強調する資料を作成した。
 環境を基軸にした反転攻勢は見事に的を射抜いた。委員会の審議では、中南米やアフリカ、アジアの各国代表ら5、6人が環境面を踏まえて「素晴らしい遺跡」と一気に審議の流れをつくり上げた。
 「石見銀山遺跡が16世紀から、環境に配慮し人と自然が共生しながら銀生産を実現させた鉱山活動だった」。近藤大使は審議後の在ニュージーランド日本国大使館クライストチャーチ出張駐在官事務所での会見で、満足感を漂わせた。
 世界遺産委員会に乗り込んでからは、3巡目に及ぶ委員会国への協力要請も効果的だった。直前まで各国代表への働きかけを緩めなかった結果、近藤大使は前日の27日に「二ランクアップ」の手応えを直感する。
 東西文化の交流を導いた石見銀山遺跡が持つ普遍的価値を、環境でアピールして登録を成就させた日本。感謝のスピーチを述べる近藤大使の近くに竹腰創一大田市長とともに中村俊郎前島根県教育委員長の姿があった。
 中村氏が所蔵する石見銀で鋳造された古丁銀を高くかざすと、議場のスクリーンに映し出された。森林にある日本らしい鉱山から生まれた銀が、登録実現のシンボルとして輝きを増していた。

http://www.sanin-chuo.co.jp/tokushu/modules/news/article.php?storyid=407541180

登録が決まったことをつたえる山陰中央新報の号外
iwamiginzan.pdf
posted by 88henro at 18:47| 世界遺産化へのニュース